ゴーストハンター・シリーズ(ラプラスの魔、パラケルススの魔剣)


ジャンル:小説


クトゥルフ
草壁健一郎

【共通設定】
 世界観:「ちょうど本のページのように、異なる世界が無数に重なり合って存在してるんだ。
   どのページにも違う物語が書かれている。世界と世界を隔てる壁はきわめて薄い。
   人が眠りに落ちると意識はあるページから別のページに滑り込む……それが夢なのさ。
   どの世界もみんな、その世界の中では現実なのさ。僕たちが『現実』と信じてるこの世界も
   実のところ、無数の夢の一つにすぎないんだ」(パラケルスス〜下巻P17)
   この台詞から、世界は一つではなく無数に存在していることがわかる。一つ一つの世界の
   大きさは不明だが、作中で『現実』だった世界は現実世界と変わりなく、普通に宇宙人とかも
   いる世界だったので一つの世界=単一宇宙だと見ていいだろう。
   世界観からするとそれぞれの世界を“視て”いる神や知的生物がいることになる。
 蜘蛛の巣:人生とは一本の線である。線の一端が誕生でありもう一端が死である。
   人間はこの時間線の上を誕生から死にむかってゆっくり動いている。
   人間だけではなくあらゆる生物にも、非生物である物質にもそれぞれの時間線があり、それらは
   お互い複雑に絡み合っている。もし時間全体を眺めることがでたとすれば、この宇宙は無数の
   時間線が絡み合った巨大な蜘蛛の巣のように見えるはずだ。(ラプラス〜P117)
   つまり蜘蛛の巣とは四次元的な視点から見た宇宙であり、宇宙開闢から終焉までの全ての
   時空構造の連なりのことを言う。
   本来蜘蛛の巣の構造は不変だが、人間や他の知的生物が“視る”ことで常に変動している。
“視る”(パラケルスス〜下巻P19〜20)
  ・ハイゼンベルクの不確定性原理により、世界を構成する素粒子は波動関数――ぼんやりした
   確率の、不安定な雲のようなもので出来ている。
   全ての物質は誰かが観測していない状態では、世界は実体の無いシュレディンガーの
   波動関数として表現できる。誰かが観測している時だけ、実体を持って形になる。
   これを波動関数の崩壊と呼ぶ。
   触ったり聞いたりする行為が物体を存在させ、誰も観測してない時、世界は存在しないも
   同然と成ってしまう。観測に一番手っ取り早いのは“視る”事である。
   人間は世界を“視る”事で世界を実現させ、同時に他者や世界から“視られて”実存する。
  ・犬も猫も人間も素粒子などのレベルで視れば、配列が違うだけで構成物はほぼ同じである。
   ちょっと配列を並び替えてやれば、それらは自在に変化する。全ては配列の確率だから。
  ・実際にそれらの変化が起こり得ないのは、その場所に存在する波動関数を我々の視線が
   「これは〜だ」と決定して常に同様な形に崩壊させてしまうからである。
   もしも人を犬にしたければ、その場所に犬の形を“視れ”ばいい。観測者の主観によって
   波動関数を崩壊させて、ただの原子に犬の形を与えてやればいいのである。
   特殊な人間(生物)は“視る”事で、波動関数の崩壊を自在に操って奇跡を生み出す。
   死者を生者のように操ったり、人間の原子や素粒子の配列を変えて別のモノにしたりできる。
  ・簡単に説明すると、本来は不確定である世界を“視る”事によって、無限の可能性の中から
   自分が望んだ未来を選んで現実化させる行為――例えそれがどんなに確率の小さな
   事象であっても、“視て”観測すればそれは現実となる。
  ・人間は誰でも“視る”力を持っていてそれを無意識に使っている。中でも強力な力を持つ者が
   魔法使いとか霊能力者と呼ばれている。予知能力というのは未来を見ているのではなく、
   観測者が“視た”未来に現実が従っているのである。
   ようするに、蜘蛛の巣を限定的に作り変える能力と言えばわかりやすいか?
   知覚する=“視る”=蜘蛛の巣への干渉なので発動に時間はかからない。


【名前】ハスター(&クトゥルフ)
【属性】名前無きもの 宇宙の全知的生物の集合無意識が生んだ神
【大きさ】ビルくらいの大きさ
【攻撃力】ごく限られた知覚&情報処理能力しか持たない人間は、どんな強力な超能力者だろうと
     蜘蛛の巣のほんの一部分しか作り変えることができない。
     しかし、無限の知覚能力と情報処理能力を持つハスターは蜘蛛の巣全体を“視て”
     自在に作り変えることができる。
     全能だと言われているわけではないが、単一宇宙全能に相当する力があると見ていいだろう。
【防御力】宇宙には人間以外にも無数の知的生物が存在する、そして、はるかな過去から遠い未来に
     いたるまで、彼らは自分たちより遥かに強大な力を持つ支配者を無意識のうちに望んでいる。
     知的生物一人一人の“視る”力は僅かなものだが、それらが集まり拠り合わされることで
     強大なものとなり、無限の力を持つ神を生み出した。そして神は人間を含む全ての宇宙を
     “視て”実在させる。宇宙に創造主など存在しない。合わせ鏡のように、人間と神が互いに
     相手を創造したのだ。(ラプラス〜P271)
     この設定からすると、ハスターを殺すには蜘蛛の巣に存在する全知的生物を殺せばいいように
     見える。しかし、ハスターが“視て”いた宇宙が消滅してもハスター自身に何の問題も
     なかった。ということは
     仮説@バックに複数の宇宙を持っている(複数の宇宙から“視られて”いる)ので宇宙が一つ
        消滅した程度は問題にならなかった。
     仮説A知的生物に“視られる”必要があるのは誕生したときだけで、それ以降は独立した存在
        なので自分の宇宙が消滅しても問題なかった。
     のどちらかということになる。
     @の場合、多元宇宙規模で過去から未来の全知的生物を殺すことができればハスターを倒せる。
     Aの場合は不明。ハスターは自分と同じ力を持つクトゥルフと1ヶ月戦ってノーダメージだった。
     ということは単一宇宙全能ではダメージを与えられない?
【素早さ】移動先に存在する自分を“視る”ことで移動する。つまり“視える”範囲内なら
     どの時間、場所にも瞬時に出現することができる。
     “視える”範囲は不明だが、多元宇宙規模の射程を持っているらしい。
     別の宇宙(つまり他の神が“視て”いる世界)のこともある程度“視る”ことができる。
     “視える”範囲=干渉範囲なので多元宇宙規模の力を持っていることになる。
【特殊能力】“視る”共通設定参照。
【短所】自発的に行動しないので力の上限がはっきりしない。
    その気になれば何でもできるがその気にならない。
【備考】神同士の戦いがどういったものかは詳しく描写されてない。
主人公たちはハスターとクトゥルフの戦いのどさくさにまぎれてハスターの世界から現実世界に脱出したので
その後その世界がどうなたのか詳しく語られていないが、どうやら消滅したらしい。
というか、その世界は最初から存在しなかったことになってしまったらしい。
おそらくその世界の蜘蛛の巣が丸ごと破壊されてしまったのではないかと思われる。
・神の自我について書かれた箇所を抜粋。(ラプラス〜P272)
 ハスターは人間に対して気まぐれで無関心だった。何故なら神々には力と知覚と計算能力があるだけで、
意志というものがないからだ。神は何も求めない。人間が勝手に服従し、勝手に教養を作り、勝手に
生贄を捧げるのだ。
 正しい方法で呼びかけられた時、神は人間の願いを叶える。神よ、私に予言の力を与えたまえ。神よ、
あのふしだらな者達が住む街を火と硫黄で滅ぼしたまえ。神よ、地上の人間全てを洪水で溺れさせたまえ。
……神には善悪を判断する力などない。ただ機械的に人間の要求に従うだけだ。同じ存在が時には神になり
時には悪魔になる。
 中には神の声を聞く者もいる。もちろん神は自分から喋ったりしない。人間が聞きたいと願っていることを
オウム返しに喋るだけなのだ。

これを読むと神は自発的な行動を起こさないように見えるが、ハスターは自分が“視て”いる宇宙に
クトゥルフが出現した時、他の全てに優先して(正しい方法で呼びかけられている真っ最中だというのに)
攻撃を仕掛けた。
このことから、敵が来たら攻撃するというような昆虫並みの自我(というか本能)ならあるのではないかと思われる。





【名前】草壁健一郎
【属性】霊能力者
【大きさ】成人男性並
【攻撃力】達人の中でも上位の格闘技術
【防御力】達人の中でも上位の防御
【素早さ】達人の中でも上位の反応・行動速度

【特殊能力】霊能力
 ・空気をイオン化させたり、人体全身を余裕で破裂させるクラスの念力を使う。
  “視る”事が出来れば対象の大きさは不問。視界内に瞬時に発動。
  数メートルの距離から熊並のダッシュを仕掛けて来る相手に3〜5発打ち込める。
 
 ・人間が一撃で意識を失う程の精神攻撃を任意かつ瞬時に打ち込める。

 ・思うだけで相手を金縛りにできる。念力同様に対象の大きさとかは関係無いっぽい。

 ・精神攻撃以外は“視る”能力の応用らしい。相手が念力をくらう様子を“視る”事で、
  波動関数の崩壊を起こして現実に変換させる。故に、相手の防御に関係なく攻撃できるが、
  高位の能力者のディアーナには自身を“視る”事で防がれたり、
  自分が目視できない相手には念力や金縛りは効かない。

【長所】防御・大きさ無視の念力による爆殺と金縛り。
【短所】反応が達人の域を出ていない。

【戦法】開始直後に念力で視界内の物体に破裂攻撃と精神攻撃を叩き込む。

【備考】“視る”は対生物専用ではなく、全物質に有効。
    彼自身の力なので、視線反射は自分を“視る”事で効果を打ち消して耐える。
    ディアーナのように常時発動の能力は無く、念力と金縛りしか“視る”事ができない。







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